産むことの重み 生きることの重み

 親として、子を産むことの重み、子と共に生きることの重みを、ますます強く感じます。皆さんはいかがですか。  

 親が産んだからこそ、子がいるのです。
 私が本園を産んだからこそ、本園があるのです。
 子が悪ければ、親の責任です。
 本園が悪ければ、園長の責任です。

 子どもは、乳児期と幼児期のうちに、偏りなく良く飲食する習慣、進んで運動する習慣、良い排泄の習慣、働く習慣(手伝い、整理整頓、掃除など)、言語能力(よく聞き、話し、読み、書くことに興味が強い)、自然への興味、数的関心、美的表現や音楽・劇の表現などに自発的に積極的に取り組み、これらを良い友だち関係の中で伸ばして、リーダー性や思いやりの社会性を身につけ、自発性、積極的やる気、好奇心や探究心など児童期以後の健全な発達の土台を作ることが、極めて大切です。
 ところで、あなたのお子さんは、いかがですか。乳児期と幼児期に、これらの良い資質が、春の草木のように内発的に芽吹き、生成していますか。
 親や教員は、子どもたちが、明るく、やる気旺盛に、その気になるように、乗せ上手になりましょう。
 園の私たちは、今年の指導方針を「園児たちを、その気にさせる乗せ上手」に置くことにしているのです。いがかですか。この方が、骨が折れずに、園児の将来の発達に効果が大きいと考えているのです。
 子育ては、園と家庭が一体化しないとダメなのです。園だけの力では、乗らないし、燃えないし、結局、冷めてしまうのです。園で、いくら乗せよう、燃えさせようとしても、家で親が上から押しつけたり、無関心だったりだと、お子さんは、大人が信頼できなくなり、冷めるどころか、反発さえするようになります。
 ぜひ、園と家庭が一体化して、小学校入学前に、お子さんの心身が、前向きに、内発的に、積極的に発達するように育てておきましょう。
 そうしておけば、お子さんが、たとえ押しつけ教育をやる小学校へ入学しても、お子さんは押しつけられる前に、自分で立派に学習なさるでしょうし、友だち関係や教師との関係も立派に調整なさるでしょう。私は、長い間、幼・小・中教育を指導していて、そんな実例もたくさん知っています。
 繰り返して強調したいことは、これは小学校入学前に、しっかりと育てるべきことだ、ということです。
 でないと、小学校をどうにか無事に通過しても、性的変化の激しい思春期の中学生になって、大きく崩れる恐れがあるからです。  やはり最も大切なのは、親であり家庭であって、教員や園ではありません。親や家庭の影響は、乳幼児期に心の深層へ刻印されるのです。
 くどいようですが、親は産むことの重み・生きることの重みを深く自覚して、子のためにも、真実の人生を死ぬまで追い求めるべきだ、と思います。
 どうか皆さん、これからも生き方を見直し続け、子育てを見直し続けて下さい。親の真摯な姿は、必ずお子さんに感動を与えて、お子さんの人生の手本となるでしょう。

1991年4月

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