子をダメにする言葉

 親が子に言ってはいけない言葉があります。「いつも、あんたってグズね!」とか「なにをやらせてもダメな子ね!」などと決めつける言葉です。
 もし奥さんがご主人から、「このグズ!」とか「なにをやらせてもダメなやつだ!」などと言われたら、どんな気がしますか。また、奥さんがご主人に、「この能なし!」と言ったら、どうなるでしょうか。親たちの間では、離婚を覚悟しなければ言えないような言葉を、相手が幼児だと思って、いとも簡単にたびたび言う親がいるのです。幼児だから家出しないと見くびっているのでしょうか。残念なことです。
 こんな言葉が繰り返されると、幼児は親への怒りと不信をつのらせると共に、自信を失い、自分を「グズな子」とか「ダメな子」と思い込むようになります。
 ところで心理学では、子どもが自分を「グズな子」とか「いい子」とか思うようになったら、セルフ・イ メージ(自己像)をもつようになった、といいます。このセルフ・イメージは、三歳から五歳にかけて、主として親が「いつも、あんたはグズね!」とか「よく手伝いするね」などと繰り返すうちに、でき上がるの です。そして、いったんセルフ・イメージができてしまうと、それからの行動は、このセルフ・イメージに合うようになされて、性格のもとになります。
 では親としてどうすればよいのでしょうか。
 よい方法は、もし「あんたってグズね!」と口から出そうになったら、「あんたは少し遅いから、もう少しはやくやるようになさい」と客観的に言うことです。また「なにをやらせてもダメな子ね」と言わないで、「すぐにできなくても、頑張ればだんだん上手になるね」と励ますことです。
 そのためには、とかく感情的になりやすい親自身の性格も直す努力が必要です。

1982年11月

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