静けさの教育

 現在の家庭や園や学校の教育で欠けがちになるのは、「静けさの教育」です。
 のびのびと育てるのはよいのですが、それに甘やかしが加わって、つい締まりのない騒々しさに陥りがちなのです。  しっかりした人物は、幼い時から、心を静めて物事に打ち込む修練を積み重ねて育つのです。大切なのは、静と動の統一です。
 日本では、昔から座禅はもちろん、華道、茶道、邦楽、舞踊なども静けさを重んじて、静を踏まえた動を基調としたのです。
 ところが、戦後、自由が強調され、一人っ子や二人っ子への甘やかしが加わって、深みのない「動」だけの教育に流れるようになったのです。
 では、どう改めればよいのでしょうか。
 幼児には、ただ「静かにせよ!」では、抑圧的になるだけで、かえって有害です。
 定評のあるよい方法として、「耳を澄ますと何が聴こえるかな!」と、子どもの心を誘って、シーンとした快い静けさの中で、かすかな雨だれの音、風の音、小鳥の動く音など聴き分けます。また、教師がかすかな声で子どもの名を呼ぶと、その子が足音を立てないで教師に近づき、握手して静かに元の席へ帰るなどが工夫されています。
 園でも、家庭でも、良い方法を工夫して、耳を澄ますことによって、心を澄まし、澄んだ心で、宇宙的な静けさに参入し、宇宙的な信念で動く人物へと育てたいものです。

1983年2月

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