「園のたより」より(’91.4月)
産むことの重み 生きることの重み
親として、子を産むことの重み、子と共に生きることの重みを、ますます強く感じます。
皆さんは、いかがですか。
私は今、親として祖父として、そう感ずるばかりではありません。更に、満14年前に本園を産んだもの(創立した者)として、また、満4年前本園を親立に改めていただいた者として、産むことの重みと生きることの重みを、しみじみと感じています。
親が産んだからこそ、子がいるのです。
私が本園を産んだからこそ、本園があるのです。
子が悪ければ、親の責任です。
本園が悪ければ、園長の責任です。
子どもは、乳児期と幼児期のうちに、偏りなく良く飲食する習慣、進んで運動する習慣、良い排泄の習慣、働く習慣(手伝い、整理整頓、掃除など)、言語能力(よく聴き、話し、読み、書くことに興味が強い)、自然への興味、数的関心、美的表現や音楽・劇の表現などに自発的に積極的に取り組み、これらを良い友達関係の中で伸ばして、リーダー性や思いやりの社会性を身につけ、自発性・積極的やる気、好奇心や探求心など児童期以後の健全な発達の土台を作ることが、極めて大切です。
ところで、あなたのお子さんは、いかがですか。乳児期と幼児期に、これらの良い資質が、春の草木のように内発的に芽吹き、生成していますか。
親や教員は、子どもたちが、明るく、やる気旺盛に、その気になるように、乗せ上手になりましょう。
園の私たちは、今年の指導方針を、「園児たちを、その気にさせる乗せ上手」に置くことにしているのです。いかがですか。この方が、骨が折れずに園児の将来の発達に効果が大きいと考えているのです。ご意見をお聞かせ下さい。意見が一致すれば、園でも家庭でも同じ方針で前向きに進みましょう。
子育ては、園と家庭が一体化しないと駄目なのです。園だけの力では、乗らないし、燃えないし、結局冷めてしまうのです。園でいくら乗せよう、燃えさせようとしても、家で親が上から押しつけたり、無関心だったりだと、お子さんは、大人が信頼できなくなり、冷めるどころか、反発さえするようになります。
ぜひ、園と家庭が一体化して、小学校入学前に、お子さんの心身が前向きに、内発的に、積極的に発達するように育てておきましょう。
そうしておけば、お子さんが、たとえ押しつけ教育をやる小学校へ入学しても、お子さんは押しつけられる前に、自分で立派に学習なさるでしょうし、友だち関係や教師との関係も立派に調整なさるでしょう。私は、長い間、幼小中教育を指導していて、そんな実例も沢山知っています。
繰り返して強調したいことは、これは小学校入学前に、しっかりと育てるべきことだ、ということです。
でないと、小学校をどうにか無事に通過しても、性的変化の激しい思春期の中学生になって、大きく崩れる虞れがあるからです。
やはり最も大切なのは、親であり家庭であって、教員や園ではありません。親や家庭の影響は、乳幼児期に心の深層へ刻印されるのです。
くどいようですが、親は、産むことの重み、生きることの重みを深く自覚して、子のためにも、真実の人生を死ぬまで追い求めるべきだ、と思います。世の中には、40代・50代で迷って、子に悪影響を及ぼす人も多いのです。そうなっては大変です。
どうか皆さん、これからも生き方を見直し続けて下さい。親の真摯な姿は、必ずお子さんに感銘を与えて、お子さんの人生の手本となるでしょう。
ご存じと思いますが、今日本の子どもたちは、英、米、独、ニュージーランド、韓国、台湾などの子どもに比べて、無気力で、将来に対する意欲が乏しいとの調査結果が出ているのです。理由は、幼児期からの親の過保護・過干渉、母親の社会進出による園任せの子育て、小中学校の管理的教育、過度な塾通い、友だちとの本当の遊びのなさ、子ども部屋に巣籠もりしてのファミコン遊びなどの結果です。情けないことです。今世界の子育ては大きく前進しています。しっかりしましょう。
1989年に国連で決まった「子どもの権利条約」では、子どもを単なる保護の対象と見ないで、子どもにも国や社会や学校などへの意見表明権を認め、思想や良心の自由行使の権利も認めました。また、親にも学校を正す権利を認めているのです。これは本園の親立の考えと一致します。