幼児期に身体で学ばせよう

 この幼児のときに基礎的な根底になる希望、自主性、意志力、目的感、これを頭で思うのでなく、体で感じるように育てたいのです。幼児期にこれが一番大切です。これが育っておれば、学校でもちゃんとやっていきます。私は幼児教育が大切だと思ったのはそこなのです。子どもは大変な素質、立派な可能性を持っていますので、本を読むこと、数を数えること、そんなことはわけなくやっていきます。折り紙を折るときも、ある線から右と左とが左右対称に、上下対称になっている、そんなことも学び、身につきます。また、そういう頭脳を育てるために、ちょうどよいものがたくさん出ていますから、それに取り組んで、いろいろのことを身につけていきます。

 

 私の園では、月に四回子どもたちで昼食の用意をします。副食を作ります。「今度、お昼に何を食べる?」と子どもに聞きますと、「この間、畑でさつまいもを掘ってきたから、さつま汁をしよう」と言います。「じゃ、何がいる?」 「さつまいもは園にあるが、肉がいる。おしょうゆがいる。 にんじんもいれる。ごぼうも入れる」と、そして子どもたちは、いろいろ材料を買いに行く。子どもにお金を持たせます。そしてスーパーで子どもたちが材料を買って支払いします。そして翌日は、子どもたちが切って、皮をむいて、子どもたちで煮ます。そういうことを通じて野菜の性質、肉の味つけ、そんなことがわかってきます。 やがて理科や社会科や家庭科で学ぶことが身につきます。何グラムあるかまで量るようになります。 副食作りを経験しますと、家で三歳の子どもでも四歳の子どもでも台所の手伝いをしたがります。少々足手まといになっても手伝いの習慣を育てて下さいと言います。立派にやりますよ。手を切りませんか、と心配する親もいます。少々血の出ることもありますが、だから気をつけて切るようになるのです。だからそういうことが早く身につきます。