次に、0歳から一歳のとき、この時期は何を育てるときか。それは希望、明るさを育てるときだとエリクソンは言っています。私も本当にそうだと思います。生きる力のもとは希望です。希望を失ったら生きる力は出ません。
明るさ、希望、これは赤ちゃんが生まれてからの一年間のうちに育てることが大切です。子どもが生まれたとき、非常に嬉しい思いで子どもに接する。明るくね。そうすると子どもは、生まれてよかったと、体で感じる。まだ頭はそこまで働きませんが、自分は生まれたことを喜ばれていると体で感じるのです。親は、ぜひ抱いて母乳を飲ませてほしいのです。
もし哺乳瓶を与えられて、ひっくり返ってミルクを飲ませられていたら、そのお子さんは可哀想で今からでも遅くないから、時々抱きしめてあげて下さい。子ども自身が一生、生まれてきてよかったと感じるような育て方をしてあげて下さい。反対に、生まれなければよかったという思いほど、みじめなことはないのです。生んだからには、生まれてよかったという思いをさせることが大切です。
皆さんは、自分のお子さんに「この子は一生明るく希望を持って生きて行く」という自信がございますか。
その自信が持てない方は考えてもらわなくてはいけないと思いますね。子どもは生んでくれと言ったわけではないのです。生んだからには、子どもが生まれてよかったと思うように育てる責任が、親にはあると思うのです。お母さんに抱かれて母乳を飲むことを通じて、赤ん坊は人生に希望を持ち、人は信頼できると思うのです。親さえ信頼できない、まして世間は、他人は、という思いほど悲しいことはありません。暗い性格ができあがります。人生に希望が持てないから生きる力がみなぎってきません。
人生には多くの苦しみがあります。生きていくこと自体は決して平坦なことではありません。私は皆さんの会は大変素晴らしい会だなぁとおもいます。それはカトリックと仏教の方が一緒にこういう会を持っておられるということです。私たちは小さいときからよく仏教の話を聞かされています。私はいい仏教信者とも言えないし、カトリック信者とも言えないのです。でも私は、人生の明るさ、人生に希望を持つことの大切さを思うのです。希望といことはカトリックでも非常に重んじられるわけですね。希望、明るさが大切です。